けんちょびんのブログ

高校生の日常。趣味:読書、サッカー

「りんごの絵を描いて下さい。」

ある日、先生が生徒に白い紙を配り、「今から、この紙にりんごの絵を描きなさい。」と言った。私は、りんごの形を頭に浮かべ、鉛筆を握った。絵を描くことは得意ではないが、意外にも簡単にりんごの絵を描くことができた。すると、先生は「今描いたりんごの絵の下に、好きな絵を描いて下さい。」と言った。「好きな絵を描いて下さい。」つまり、自由に絵を描いて良いということだ。しかし、何を描けば良いのかなかなか決まらない。自由を与えられているというのにだ。もちろん、先生に言われた通り、好きな絵を描けている人もいたが、頭を抱えている人の方が多くいた。すると、先生はこのようなことを言った。「顔を上げて聞いて下さい。皆さんは、与えられたことはできました。しかし、そこに自分で考えなければならないことが少し加わるとできなくなってしまいました。その差はとても小さいようで大きなものなのです。自分で考えることから逃げてはいけません。りんごだけしか描けない人にはならないで下さい。」

「自由」とは広大で美しい言葉でもある。だが、時に私たちを悩ませる存在にもなる。忘れてはいけないのは、自分自身が時間に追われている時のありがたさだ。やるべき事が明確に決まっている時。時間に余裕が無い時。実は、その時が一番の幸せだったりするのかもしれない。